
医療法人が融資を受ける目的とは?具体的な資金調達の方法を紹介!
「医療法人が融資を受ける方法とは?」
「医療法人に最適な資金調達とは?」
と疑問をお持ちの方がいるかもしれません。
医療法人は運営資金を確保するために、融資を受けるなどして資金を確保しなくてはいけません。
しかし、資金調達の手段は幅広く、最適な方法がわからないとお悩みの医療法人が多く見受けられます。
そこで今回の記事では、医療法人が融資を受ける目的や資金調達の手段、資金調達の具体的な方法などについて解説します。
医療法人が融資を受ける目的
まずは医療法人が融資を受ける目的を確認しておきましょう。
運営資金を確保すること
医療法人が事業を展開するためには、運営資金を確保しなくてはいけません。
必要になる運営資金例として、以下が挙げられます。
- 医療法人の設立費用
- 職員などの支払う給与・報酬
- 製薬会社などに対する支払い
- 医療機器のリース料金など
医療法人を新設する場合、資産に関する要件も定められているので注意が必要です。
- 設立後2ヶ月分の運転資金が現預金で確保されていなければならない
- 個人時代の設備の買い取りを行う場合は、その資金も別途必要
医療法人を設立する流れについては、以下の記事を参考にしてください。
中長期的な活動資金も必要
医療法人は短期的な資金のみならず、「中長期的な活動資金」についても考慮する必要があります。
中長期的に必要となる、主な資金項目は以下の通りです。
- 病院・クリニックの建替え
- 高額医療機器の購入
- 将来の診療科・医師の確保など
運営資金とは別に「中長期的な活動資金」の調達方法を考える必要があることを覚えておきましょう。
診療報酬債権のみでは補えない可能性がある
医療法人の主な収入源は「診療報酬債権」です。
しかし、診療後に請求してから報酬を受け取るまでに「約2ヵ月」のタイムラグが発生します。
一般的に人件費や薬剤の購入費用が先に必要となるため、医療法人は最低でも2ヶ月分の運営資金を確保しなくてはいけません。
ただ、医療法人は株式会社などの普通法人とは異なり、株式や社債を発行できないので、別の方法で資金調達する必要があります。
医療法人は株式や社債を発行できない
医療法人には、株式や社債を発行することが認められていません。
加えて、公益性が求められる医療法人は「収益事業」を行うことができないことから、診療報酬債権による収入が中心となります。
自己資金にも限界があるため、医療法人は外部から資金を調達する必要があるのです。
それでは、具体的にどのような方法で資金を調達すればいいのでしょうか?
資金調達の手段
資金調達の手段は大きく「直接金融」と「間接金融」に分けられます。
直接金融 | 投資家から直接資金を調達する方法 |
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間接金融 | 金融機関などにある資金を金融機関などが融資する方法 |
以下で詳しく確認していきましょう。
直接金融
直接金融とは、投資家(利益を得ることを目的に資金を貸し出す者)から直接資金を調達する方法です。
投資家は法人や国・地方自治体などに直接お金を貸し出すことで、配当や利息を受け取り、利益を獲得します。
例えば、株式会社の資金源となる「株式」や「債券」などは直接金融の代表的な商品です。
直接金融では投資家から直接調達するため、多額の資金を調達しやすいですが、信用情報・決算内容を開示するなど、手続きが煩雑になりやすい点が懸念されます。
間接金融
間接金融とは、金融機関などにある資金を金融機関などが融資する方法です。
間接金融の仕組みは以下のようになっています。
- 預金者が金融機関にお金を預ける
- 金融機関が資金を必要とする者に貸し出す
- 金融機関は利息を受け取る
- 金融機関から預金者に利息が支払われる
金融機関を介することで資金調達のアドバイスを受けられますが、必ず融資を受けられるとは限りません。
医療法人における資金調達の方法
以下で、医療法人における資金調達の具体的な方法を確認していきましょう。
銀行から融資を受ける
銀行からの融資(銀行借入)は、資金調達の最も代表的な方法でしょう。
しかし、銀行から必ず融資を受けられる保証はありません。
担保がなかったり、信用格付けが低かったりする場合は、融資を断られてしまう可能性があります。
融資を受けられる場合でも、信用度が低いと金利が高く設定されることがあります。
社会医療法人債を発行する
社会医療法人債とは、社会医療法人が発行する債券のことです。
社会医療法人は、公的医療機関と並ぶ医療を提供する主体として位置付けられています。
社会医療法人の経営基盤を安定化させることを目的として、社会医療法人には間接金融のみならず、社会医療法人債の発行による直接金融が認められているのです。
しかし、社会医療法人への移行するのは難易度が高く、社会医療法人債の発行には多額の手数料が発生します。
医療機関債を発行する
医療機関債とは、医療法人が資金を確保する目的として、「医療機関債発行のガイドライン」に基づき発行される債券のことです。
借入金であるため、有価証券ではありません。
医療機関債の特徴として、透明性が高いことや固定金利・満期一括償還であることが挙げられます。
しかし、監査を受けたり、資金の使途を決めたりする必要があり、条件が細かく設定されているため、融資のハードルは高いです。
参照:厚生労働省「「医療機関債」発行等のガイドラインについて」
診療報酬債権流動化を利用する
診療報酬債権流動化とは、診療報酬債権を売却することで資金を調達する方法です。
診療報酬債権が支払われるまでタイムラグはあるものの、ほぼ必ず支払われるため、担保として信用性が高くなります。
特に、短期的に必要となる運用資金(職員の給与の支払いや製薬会社への支払いなど)に向いています。
しかし、融資を受けられる資金が限られているため、長期的な資金を確保する方法としてはおすすめできません。
シンジケート・ローンを利用する
シンジケート・ローンとは、複数の金融機関(シンジケート団)が貸付を行う方法です。
幹事金融機関(アレンジャー)が複数の金融機関を取りまとめ、資金の調達を行います。
複数の金融機関から少しずつ融資を受ける制度であるため、貸付側としては負担が少ない点がメリットになります。
しかし、融資を受ける医療法人は、幹事金融機関に手数料(アレンジメント・フィー)を支払わなくてはいけません。
コミットメント・ラインを利用する
コミットメント・ラインとは、金融機関と法人等があらかじめ契約した期間・融資枠の中で、自由に融資を受けられる制度のことです。
経営状況を問わずに融資を受けられるだけでなく、金融機関との関係を強化できます。
一方で、コミットメント・ラインを設定する際に手数料が発生し、融資枠まで借りていない場合でも手数料が発生する点が懸念されます。
リースバック方式を用いる
リースバック方式とは、不動産や機械・設備機器を売却して、賃貸借契約を支払うことで資金を確保する方法です。
購入した医療機器を売却して資金を確保できるだけでなく、リース料(賃借料)を支払うことで医療機器をそのまま使用することができます。
ただし、契約期間中に解約することは難しいため、リースバック方式を用いる際は長期的な視点が必要になります。
MS法人に依頼する
MS法人(メディカル・サービス法人)とは、医療機関の運営事業を行う営利法人のことです。
MS法人は事業分散、および事業拡大のために活用されます。
例えば、不動産賃貸や売店の営業などの事業を展開したり、診療報酬請求や窓口会計などの一般事務を独立させたりする目的で設立されます。
株式会社であるMS法人に依頼すれば、MS法人を窓口として資金を調達することが可能です。
医療法人には認められていない株式や社債の発行もできます。
ここまで代表的な資金調達の方法を紹介しました。
医療法人のタイプや目的、必要な資金額によって最適な方法が変わってきます。
資金調達でお悩みの方は、お気軽に七福計画株式会社にお問い合わせください。
記事まとめ:医療法人の融資についてのご相談は七福計画株式会社へお任せください
今回の記事では、医療法人が融資を受ける目的や資金調達の手段、資金調達の具体的な方法などについて解説しました。
医療法人は短期的、および長期的な運営資金を確保するために、融資などを通じて資金調達を行わなくてはいけません。
しかし、医療法人の中には「最適な資金調達方法がわからない」というケースが多く見受けられます。
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