免税事業者に該当する医療法人・病院とは?インボイス制度への対応方法を解説!

免税事業者に該当する医療法人・病院とは?インボイス制度への対応方法を解説!

「免税事業者に該当する医療法人とは?」
「医療法人には消費税は課せられない?」

と疑問をお持ちの方はいませんか。

免税事業者とは、課税売上高が1,000万円以下であり、消費税が免除される事業者のことです。

免税事業者かによってインボイス制度への対応が異なるので、自法人の立ち位置を明確にする必要があります。

今回の記事では、免税事業者に該当する医療法人・病院の条件や消費税が課されない医療関連の取引、医療法人・病院のインボイス制度への対応について解説します。

目次

免税事業者に該当する医療法人・病院とは?

自法人は免税事業者に該当するのか疑問をお持ちの方は、まず事業者免税点制度について理解を深めることが大切です。

ここでは、免税事業者に該当する医療法人・病院の基礎知識をご紹介します。

事業者免税点制度は「消費税」が免除される制度

国税庁の公式サイトによると、事業者免税点制度とは「基準期間における課税売上高が1,000万円以下であることにより事業者の納税義務が免除される制度」のことです。

つまり、課税売上高が1,000万円以下だと消費税が免除される制度のことを言います。

なお、課税売上高とは、課税取引の売上高から売上返品や売上値引、売上割戻などにかかる金額を控除した残額のことです。

参照:国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要

免税事業者とは

免税事業者とは、事業者免税点制度により消費税が免除されている事業者を指します。

つまり、課税売上高が1,000万円以下の事業者のことです。

ただし、課税売上高が1,000万円を超える場合でも、給与等支払額の合計が1,000万円を超えていなければ、免税事業者と見なされるケースもあります。

課税事業者とは

課税事業者とは、消費税の納税義務がある事業者のことです。

課税事業者の要件として、以下が挙げられます。

  • 基準期間における課税売上高が1,000万円を超える
  • 特定期間における課税売上高/支払った給与等の額が1,000万円を超える
  • 消費税課税事業者選択届出を提出している
  • 適格請求書発行事業者に登録している

自法人が上記のいずれかの要件を満たしている場合、消費税を納める必要があります。

自法人が該当するか確認してみてください。

不明点等がある場合は、専門知識を備えた税理士や専門会社に相談することが大切です。

消費税が課されない医療関連の取引

医療関連の取引の中には、免税事業者や課税事業者を問わず、消費税が課されない取引があります。

以下で、消費税が課されない取引例を確認しましょう。

社会保険医療の給付

医療の給付とは、「病気やけがが治るまで、国の負担で医療を受けることができる制度」のことです。

社会保険による医療の給付に関しては、消費税が課税されません。

例えば、健康保険法・国民健康保険法による医療、労働保険や自賠責保険の対象となる医療などです。

しかし、入院時の食事代や差額ベッド代、保険適用外の治療費や手術代、市販医薬品の購入費用などは該当しないため注意してください。

参照:厚生労働省「医療の給付

社会福祉事業等のサービス

社会福祉事業等のサービスも消費税の課税対象にはなりません。

具体的には、救護施設や更生施設、乳児院・母子生活支援施設、養護老人ホーム・軽費老人ホーム、障害者支援施設などの運営事業が挙げられます。

社会福祉事業は大きく「第一種社会福祉事業」と「第二種社会福祉事業」に分けられますが、どちらの事業も消費税が免除されています。

第一種社会福祉事業 社会的に緊急性・必要性の高い事業
第二種社会福祉事業 社会的責任が比較的小さい事業

助産

医師、助産師が助産を行う行為は、消費税の発生する取引にはなりません。

さらに、入院に必要な看護料、室量、食事代、寝具料、洗濯代、電気代、お産パッド代などの費用も非課税対象となります。

他にも、分娩介助料や薬剤料等、回復検診なども非課税対象です。

参照:厚生労働省「消費税法の改正について

一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け

一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付けも非課税取引の対象です。

例えば、義肢や視覚障害者安全つえ、義眼、点字器、人工喉頭、車椅子などが挙げられます。

身体障害者が使用するための特殊な性状、構造または機能に関しても、一定のものであれば、非課税対象となります。

医療法人・病院はインボイス制度への対応が必要?

消費税とあわせて確認しておきたい制度が「インボイス制度」です。

インボイス制度への対応方法は、免税事業者か課税事業者によって異なります。

以下で基礎知識を確認していきましょう。

インボイス制度とは

国税庁によると、インボイス制度とは「複数税率に対応した仕入税額控除の方式」のことです。

令和5年10月1日から開始された制度で、事業者が正確に消費税を納められるようにするために導入されました。

インボイス制度への登録は任意ですが、登録することで仕入税額控除(「売上げ時に受け取った消費税額」−「仕入れ等の際に支払った消費税額」)を受けられるようになります。

ただ、仕入税額控除を行うためには、インボイス(請求書・領収書など)の保存が必要なので注意してください。

インボイス制度の詳細に関しては、国税庁などのホームページを参考にすると良いでしょう。

参照:国税庁「インボイス制度とは

免税事業者の場合

免税事業者は適格請求書の交付が必要である場合は、適格請求書発行事業者への登録が必要になります。

適格請求書発行事業者とは、仕入税額控除を受けるためのインボイスを発行できる事業者のことです。

例えば、企業への健康診断・予防接種を行う際は、企業からインボイスの発行が求められる可能性があります。

インボイスを発行できないと消費税の仕入税額控除ができずに消費税の納税額が増えてしまうのです。

ちなみに診療報酬や自費診療(美容整形など)などでは、インボイスの発行が求められることはありません。

課税事業者の場合

課税事業者の場合、インボイス制度によって消費税の納付税額が増えることはありません。

そのため、免税事業者よりも影響が少ないと言えるでしょう。

インボイス制度の病院に対する影響については、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:病院はインボイス制度への対応が必要?領収書や登録番号について解説!

免税事業者の医療法人・病院が適格請求書発行事業者になる方法

それでは、免税事業者の医療法人が適格請求書発行事業者になるにはどうすればいいのでしょうか?

1. 消費税課税事業者選択届出書を提出する

適格請求書発行事業者になるためには、まず消費税課税事業者選択届出書を提出しなくてはいけません。

ただし、令和5年10月1日〜令和11年9月30日の課税期間に関しては、消費税課税事業者選択届出書の提出が不要とされています。

登録を行う期間を踏まえて、消費税課税事業者選択届出書が必要かを判断しましょう。

2. 登録申請を行う

消費税課税事業者選択届出書の提出後は、登録申請を行いましょう。

具体的には、納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出します。

登録を受ける期間はe-Taxの場合で1ヶ月、書面の場合で1.5ヶ月です。

登録が完了したら書面、もしくは電子データで「登録通知」が送付されます。

登録申請に関して問い合わせをする際は、管轄のインボイス登録センターに連絡しましょう。

免税事業者の医療法人に関するよくある質問

法人保険の損金算入ルール改正とは?新税制における変更点を解説

ここでは、免税事業者の医療法人に関するよくある質問を紹介します。

医療法人・病院におけるインボイス登録番号の調べ方とは?

登録番号とは、適格請求書発行事業者に付与される番号のことです。

インボイス登録番号を知りたい医療法人・病院は、「登録通知」を確認しましょう。

登録通知にはインボイスの登録番号などが記載されています。

ただし、登録通知は再発行できません。

そのため、紛失を防ぐためにe-Taxより電子データで登録通知を受け取ることが推奨されています。

医療機関は健康診断・予防接種のインボイス発行が必要?

インボイスを発行できるかは、健康診断・予防接種の利用者によります。

一般患者に健康診断・予防接種を実施する場合、インボイスを発行する必要はありません。

一方で、企業などの事業者から集団での健康診断・予防接種を依頼される場合、インボイスの発行が必要になる可能性があります。

例えば、事業者側は納税額の増加を防ぐために、適格請求書発行事業者の医療機関を選ぶでしょう。

適格請求書発行事業者に登録しない場合は、消費税分の値引きを行うなどして、事業者との価格交渉が必要になるかもしれません。

記事まとめ:医療法人についてのご相談は七福計画株式会社へお任せください

【まとめ】法人保険の仕組み

今回の記事では、免税事業者に該当する医療法人・病院の条件や消費税が課されない医療関連の取引、医療法人・病院のインボイス制度への対応について解説しました。

免税事業者は課税売上高が1,000万円以下で、消費税の納税が免除されますが、インボイス制度の影響を受ける可能性があります。

取引先と交渉しながら、適格請求書発行事業者への登録が必要な場合は手続きを進めていきましょう。

もし税金や経営でお困りごとがございましたら、七福計画株式会社にご相談ください。

当社はこれまで3,000件以上の相談を受けており、実績とノウハウを活かしたサポートを行っています。

オンラインでの相談受付も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

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