
医療法人における人事労務とは?仕事内容や改善方法を徹底解説!
「医療法人における人事労務とは?」
「人事労務の具体的な仕事内容とは」
と疑問をお持ちの方はいませんか。
人事労務とは、採用や育成・教育、職場環境の整備など、従業員に関する業務を行う部門のことです。
離職者数の低減やコンプライアンスの維持などにおいても、医療法人の人事労務は重要な役割を担います。
今回の記事では、医療法人における人事労務の基礎知識をはじめ、人事労務の重要性、医療法人特有の人事労務に関連した問題、人事労務を改善する方法などについて解説します。
医療法人における人事労務とは?
医療法人とは、医療法の規定に基づき設立される法人のことです。
まずは人事労務の基本的な知識をおさらいしておきましょう。
医療法人に関する基礎知識については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:医療法人化のメリットやデメリットについて解説!リスク対策は保険で対応
人事労務とは
人事労務とは、組織における従業員に関連した業務を行う部門のことです。
具体的には、従業員の採用から育成・教育、人事配置、人事考課、給与、保険、退職などに関連した業務に対応します。
人事労務は大きく「人事管理」と「労務管理」に分けることが可能です。
両者に明確な違いがある訳ではありませんが、期待される役割が異なります。
人事労務の種類 | 人事管理 | 労務管理 |
---|---|---|
役割 | 従業員の働き方を管理する | 従業員が働く環境を管理する |
人事管理
人事管理の役割は「従業員の働き方を管理する」ことです。
組織内の従業員をどのように有効に活用するかを考えます。
具体的には、従業員の採用や人材の育成・教育、人事考課、人材配置などの業務を行うことが多いです。
労務管理
労務管理の役割は「従業員が働く環境を管理する」ことです。
従業員が快適に働けるような組織づくりを行います。
具体的には、給与計算や福利厚生、就業規則、社会保険、労働安全衛生、入社・退社手続きなどの管理業務です。
なお、組織内で人間トラブルが発生した場合の相談窓口になることもあります。
医療法人における福利厚生については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:福利厚生で法人保険を導入するメリットとデメリットを紹介!
医療法人における人事労務の仕事内容
ここでは、医療法人における人事労務の具体的な仕事内容を確認していきましょう。
人事管理の仕事内容
人事管理の仕事内容を以下の表にまとめました。
仕事内容 | 概要 |
---|---|
採用活動 | 新卒採用と中途採用での採用活動を行う。 両者ではスケジュールや採用基準、求める人物像が異なるため、経営戦略を理解した上で適切に人材を見極める必要がある。 |
従業員の教育・研修 | 従業員に対する教育・研修を実施する。 新入社員を対象にした導入研修をはじめ、入社3年目研修、マネジメント研修、リーダーシップ研修などが含まれる。 |
人事評価制度の設定 | 従業員の給与や賞与に関する取り決めを行う。 従業員を公平に評価するために、クリアな評価制度を設置する。 |
人材配置 | 従業員の能力や専門性に応じて、適切な人材配置を行う。 配属先決定や昇格・降格などをマネジメントする。 |
労務管理の仕事内容
労務管理の仕事内容は以下の表の通りです。
仕事内容 | 概要 |
---|---|
給与計算 | 従業員に支給する基本給、時間外手当や通勤手当、家族手当などを計算する。 社会保険料や税金などを差し引く必要があり、専門知識が求められる。 |
勤怠管理 | 正しく給与計算を行うためには、適切に勤怠管理を行う必要がある。 従業員の出退勤や休憩時間、時間外労働、休日出勤、遅刻、早退、欠勤、有給休暇などを把握する。 |
社会保険 | 健康保険や厚生年金保険、雇用保険、労災保険などの手続きを行う。 |
就業規則 | トラブルを未然に防ぐために就業規則を作成する。 |
安全衛生管理 | 従業員が安心して働ける環境を整備する。 |
医療法人における人事労務の重要性
医療法人において人事労務はどれくらい重要なのでしょうか?
以下でその重要性について確認していきましょう。
離職者数の低減
人事労務は、医療法人における離職者数を低減するために重要な役割を担います。
離職者数が多い場合、人手不足による業務負担が増加し、従業員から不満が生まれやすくなります。
また、安定的に事業を継続することが難しくなり、医療崩壊のリスクが高まるでしょう。
離職者数を低減するためには、福利厚生の見直しや職場環境の整備、人間関係トラブルの早急な解決、評価体制の見直しなどが欠かせません。
コンプライアンスの維持
コンプライアンスとは、組織が法令や社会的ルールを守ることを意味します。
コンプライアンスの維持は、医療法人の社会的信用を確立するために必要不可欠です。
人事労務には、コンプライアンスを維持する役割が期待されます。
各種法律の最新情報を把握し、適切な対応を取ることが重要です。
医療法人特有の人事労務に関連した問題
医療法人の人事労務では、業界特有の問題も少なくありません。
以下で、人事労務が直面している問題について理解を深めましょう。
さまざまな職種が存在する
病院やクリニックでは、さまざまな職種の従業員がそれぞれの業務に従事しています。
例えば、医師や看護師、医療事務、歯科衛生士、理学療法士、言語聴覚士などの職種が挙げられるでしょう。
職種によって労働条件が異なるため、医療法人における人事労務は煩雑になりやすいです。
また、フルタイムとパートタイムの従業員がいると、より管理が複雑になります。
残業が発生しやすい
医療業界は人材不足が深刻なだけでなく、緊急患者の対応などがあるため、残業が発生しやすいです。
医療業界の過重労働を見直すために、2024年度4月1日から医師の働き方改革の新制度がスタートしました。
これにより、労働時間の上限が決められました。
一般の診療従事勤務医の場合、時間外労働の上限は「960時間(1年間あたり)」と定められています。
このような新制度に対応するためにも、人事労務には最新情報を踏まえた上で、従業員の労働環境を見直す役割が求められます。
参照:厚生労働省「医師の働き方改革」
人員不足
医療業界は人材不足が深刻化している業界のひとつです。
日本医師会総合政策研究機構の調査では、OECD加盟国(35ヶ国)における臨床医指数の平均値は「3.5人」でしたが、日本の人口当たりの臨床医指数は「2.4人」という結果になりました。
このことから、日本は医師が不足していることが伺えます。
医師不足の状況で医療法人を運営していくために、離職率の低下やモチベーションの向上などが必要になり、人事労務は重要な役割を担います。
参照:日本医師会総合政策研究機構「医療関連データの国際比較-OECD Health Statistics 2019-」
医療法人が人事労務を改善する方法
人事労務は重要な役割を担うことがわかりました。
しかし、中には人事労務が上手く機能していないという医療法人も見受けられます。
以下で、医療法人が人事労務の状況を改善する方法について確認していきましょう。
学習の機会を提供する
医療法人が人事労務を改善する1つ目の方法は、「学習の機会を提供する」ことです。
人事労務が対応する業務の中には、法律や税金などの専門知識が求められる業務が多く含まれます。
このような業務を正確に対処していくには、従業員への教育が必要不可欠です。
定期的に研修を実施する、教育費用を支援するなどして、従業員の学習を支援しましょう。
最適な人員を配置する
医療法人が人事労務を改善する2つ目の方法は、「最適な人員を配置する」ことです。
従業員(もしくは採用候補者)のスキルや経験、適性などを踏まえた上で、適切に人員を配置する必要があります。
職種と従業員の適性にミスマッチがあると、効率的に人事労務に取り組むことができません。
人事労務ソフトを導入する
医療法人が人事労務を改善する3つ目の方法として、「人事労務ソフトを導入する」が挙げられるでしょう。
人事労務ソフトとは、労務管理や給与などを自動で管理してくれるシステムのことです。
例えば、入退社時間をICカードで読み込むことで、勤怠を自動で管理できます。
さらに、労務管理と給与計算を連携できるソフトを導入すれば、データ管理を効率化させることができます。
しかし、人事労務ソフトにはさまざまな種類があるので、自法人に最適なソフトを選ぶことが大切です。
外部サポートを利用する
医療法人が人事労務を改善する4つ目の方法は、「外部サポートを利用する」ことです。
先述した通り、人事労務を効率的に行うためには専門知識やノウハウが欠かせません。
しかし、人員が不足していると1人あたりの負担が高まり、業務の質が低下してしまいます。
そこで外部サポートを利用することで、人事労務の業務をスピーディーかつ正確に行えるようになります。
記事まとめ:医療法人についてのご相談は七福計画株式会社へお任せください
今回の記事では、医療法人における人事労務の基礎知識をはじめ、人事労務の重要性、医療法人特有の人事労務に関連した問題、人事労務を改善する方法などについて解説しました。
人事労務は大きく「人事管理」と「労務管理」に分けられますが、どちらも組織内の「ヒト」に関わる業務に対応します。
業務を正しく進めていくためには、専門知識が必要です。
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