
医療法人における退職金の計算方法とは?資金確保の方法を紹介!
「医療法人の退職金はどのように計算すべき?」
「退職金の資金はどのように確保すればいい?」
と疑問をお持ちの方がいるかもしれません。
医療法人では退職金を受け取ることが可能です。
ただ、退職金の種類および退職金の計算方法はさまざまなので、まずは退職金について理解を深めることをおすすめします。
今回の記事では、医療法人における退職金の種類、計算方法、退職金を用意する方法について解説します。
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医療法人は退職金を受け取れる?
医療法人で退職金を受け取ることは「可能」です。
ただし、退職金の支給は任意なので、退職金を受け取れるかどうかは医療法人によって変わってきます。
とはいえ、医療・福祉業界における退職金制度の導入率は「75.5%」におよび、多くの医療法人が退職金制度を導入しています。
医療法人における退職金制度の詳細については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:医療法人の従業員退職金の種類と保険を活用した資金準備のポイント
参照:厚生労働省「3 退職給付(一時金・年金)制度」
医療法人における退職金の種類
医療法人における退職金はいくつかの種類に分けられます。
退職金の種類 | 概要 |
---|---|
退職一時金制度 | 退職するタイミングに退職金の全額が支給される制度 |
企業年金制度 | 退職金が分割で支給される制度 |
前払い制度 | 退職時に支給される退職金が在職中に支給される制度 |
以下で、それぞれの退職金について詳しく確認していきましょう。
退職一時金制度
退職一時金制度とは、退職するタイミングに退職金の全額が支給される制度のことです。
退職金制度の中でも主流で、多くの医療法人でも採用されています。
退職金を一時金として受け取ると「退職所得」という扱いになり、税制上の優遇を受けられる可能性があります。
なお、退職所得控除額は勤続年数によっても変わってきます。
企業年金制度
企業年金制度は、退職金が分割で支給される制度を指します。
中小規模の医療法人では退職一時金制度が採用されるケースが多いですが、大規模の医療法人は退職一時金制度と企業年金制度の両方に対応しているケースが多いです。
公的年金に上乗せして支給されるため、老後の備えとして企業年金制度を選択する方も少なくありません。
前払い制度
前払い制度とは、退職時に支給される退職金が在職中に支給される制度のことです。
月々の給与に上乗せする形で支給されるため、従業員はキャリアアップ等に資金を投資することもできます。
医療法人としては、退職時に必要となる一時的な高額支出を避けられるメリットがあります。
ただ、月々の給与という扱いになるため、社会保険料が高くなる点はデメリットでしょう。
医療法人における退職金の平均費用
それでは、医療法人ではどれくらいの退職金が支給されるのでしょうか?
退職金の平均費用は、勤続年数や月額報酬、役職、医療法人の規模などによって変わってきます。
一例として、役職別に退職金の目安を以下の表にまとめました。
役職 | 退職金の目安 |
---|---|
看護師(30年) | 800万〜900万円程度 |
看護師(定年) | 800〜2,000万円程度 |
医師 | 1,000~2,000万円程度 |
役員 | 最終報酬月額×従事年数(役員としての在任年数)×功績倍率 |
医療法人における退職金の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:医療法人における退職金の平均・相場は?計算方法を解説します
医療法人における退職金の計算方法
退職金の計算方法にはいくつか種類があります。
以下で、代表的な計算方法を確認していきましょう。
定額制
定額制とは「勤続年数」に応じて退職金額が決まる方式のことです。
一般的には勤続年数が長いほど、受け取れる退職金額が大きくなります。
定額制のイメージは以下の通りです。
勤続年数 | 退職金額 |
---|---|
勤続10年 | 100万円 |
勤続20年 | 300万円 |
勤続30年 | 600万円 |
勤続45年 | 1,000万円 |
定額制においては個人の実力や実績は考慮されず、勤続年数で退職金額が決まります。
ただ、退職事由(医療法人の都合か個人の都合か)によっても退職金額が変動するケースも少なくありません。
基本給連動型
基本給連動型とは「勤続年数」と「基本給」で退職金額を決める方式のことです。
勤続年数をベースに退職金額が決まるのは定額制と同じですが、基本給連動型は基本給も考慮されるため、同じ勤続年数でも受け取れる退職金に個人差があります。
基本給連動型の計算方法は「基本給(退職時点のもの)」×「勤続年数別の支給率」です。
例えば、基本給が「40万円」、勤続年数別の支給率が「20」の場合、退職金額は「800万円」となります。
退職事由も考慮される場合は、上記の式に加えて「退職事由係数」も掛け合わせて退職金額を算出します。
別テーブル制
別テーブル制とは、「勤続年数」と「役職・等級」で退職金額を決める方式のことです。
基本給連動型が「基本給」をベースで計算するのに対し、別テーブル制は「役職・等級」で退職金額を計算します。
役職・等級による支給率のイメージは以下の通りです。
等級 | 支給率 |
---|---|
1級 | 1.0 |
2級 | 1.1 |
3級 | 1.15 |
4級 | 1.2 |
ただし、役職がない従業員は受け取れる退職金が少なくなってしまうため、不満につながりかねません。
ポイント制
ポイント制とは、「従業員が獲得したポイント」で退職金額を決める方式のことです。
具体的には、「勤続年数」や「職能・職務等級」、「役職」などによってポイントが決められており、獲得したポイントによって退職金額が変動します。
ポイント制の計算方法は「付与ポイント ×「ポイント単価」×「退職事由係数」です。
複数の観点から退職金額を決められるため、最近はポイント制を取り入れる法人も多く見受けられます。
医療法人が退職金を用意する方法
それでは、医療法人はどのように退職金の資金を確保すればいいのでしょうか?
以下で、医療法人が退職金を用意する方法を紹介します。
生命保険
退職金の資金を確保する方法として、「生命保険」は代表的な手段でしょう。
生命保険に法人契約する場合、保険料の一部を経費として計上することが可能です(要件を満たした場合)。
また、途中解約をした場合においても、解約返戻金を入手できます。
ただし、保険料の総額よりも解約返戻金、もしくは満期金が少なくなる可能性があるため注意が必要です。
逓増定期保険
逓増(ていぞう)定期保険とは、保険金額が徐々に増えていくタイプの保険です。
段階的に保険金が増えていくため、事業の発展にあわせた資金準備を行えます。
逓増定期保険の特徴は、解約返戻率のピークが早いタイミングにくる点です。
一般的には保険に加入してから5〜10年程度で、解約返戻率がピークを迎えます。
そのため、逓増定期保険は短期的な資金確保を目指している場合におすすめの保険タイプと言えるでしょう。
長期平準定期保険
長期平準定期保険とは、保険期間が長期にわたるタイプの保険です。
保険期間中は保険金額が一定となります。
満期の年齢を「95〜100歳」などに設定できるため、長期的に資金準備を進めたい場合におすすめです。
ただし、長期にわたって保険金額を支払う必要があるので、資金計画を綿密に行う必要があります。
退職金の資金準備で活用できる保険については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:医療法人の従業員退職金の種類と保険を活用した資金準備のポイント
内部留保
内部留保とは、当期純利益から配当金を差し引いた資金のことです。
社内で貯蓄していた資金を活用すれば、退職金制度の設計を自由に行えます。
そのため、独自の退職金制度を実施したい企業や、資金に余裕のある大規模な医療法人におすすめの方法です。
しかし、従業員が一度に退職した場合、社内の蓄えが一気に減ることになります。
さらに、会社の利益が減少すると内部留保も減少してしまうため、従業員に退職金を支給できない、もしくは退職金額が減少する可能性もゼロではありません。
中小企業退職金共済
中小企業退職金共済とは、独立行政法人勤労者退職金共済機構(中小企業退職金共済事業本部)が運営する公的退職金制度です。
中小規模の法人を対象とした制度で、従業員が退職金を受け取れるように支援することを目的としています。
同制度を利用することで国から助成金を受けられるため、独力で退職金制度を実現するのが難しいという企業におすすめです。
中小企業退職金共済における退職金の計算方法は「基本退職金」+「付加退職金」です。
なお、11月以下の場合は支給されないなどの決まりもあるため、公式サイト等で制度について理解を深めることをおすすめします。
記事まとめ:医療法人についてのご相談は七福計画株式会社へお任せください
今回の記事では、医療法人における退職金の種類、計算方法、退職金を用意する方法などについて解説しました。
医療法人が利用できる退職金制度にはさまざまな種類があり、制度によって計算方法が異なるため注意が必要です。
さらに、退職金制度の導入にともなって、資金準備についても検討する必要があります。
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