医療法人における税務で注意すべきこととは?税金の種類や法人税率を解説!

医療法人における税務で注意すべきこととは?税金の種類や法人税率を解説!

「医療法人の税務とは?」
「医療法人が納める税金の種類は?」

と疑問をお持ちの方がいるかもしれません。

普通法人とは異なり公益性が求められる医療法人では、税務においても普通法人との相違点や注意点がいくつか存在します。

今回の記事では、医療法人の税務に関する基礎知識をはじめ、医療法人が納める税金の種類や税務に関する注意点などについて解説します。

法人税が非課税になるケースも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

医療法人の税務とは?

医療法人とは、「病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設することを目的として、医療法の規定に基づき設立される法人」のことです。

普通法人(もしくは個人事業主)と医療法人では、税務においていくつかの相違点が存在します。

以下で詳しく確認していきましょう。

参照:厚生労働省「医療法人の基礎知識

普通法人(もしくは個人事業主)と税率が異なる

医療法人は「普通法人(株式会社や合同会社など)」と税率が異なります。

例えば、普通法人の法人税率は「15%〜23.2%」ですが、特定医療法人の法人税率は「19%(15%)」です。

また、消費税に関しても医療法人の場合は、非課税になる対象(社会保険医療など)が存在します。

このように、医療法人には普通法人と扱いが異なる点が存在するので注意が必要です。

ちなみに個人事業主の場合、所得税は「10〜37%」となっています。

医療法人化すべきタイミングについては、以下の記事で解説しています。

関連記事:医療法人化のメリットやデメリットについて解説!リスク対策は保険で対応

医療法人における法人税の税率

医療法人における法人税率を以下の表にまとめました。

医療法人の種類 法人税率
医療法人(年課税所得800万円以下) 19%
医療法人(年課税所得800万円超) 23.2%
特定医療法人 19%(15%)

税率に関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:医療法人の法人税の税率は?普通法人との違いなどについて詳しく解説

医療法人は税制優遇を受けられる

医療法人には税制優遇が認められるケースがあります。

例えば、公益法人等に該当する社会医療法人の場合、「法人税」は課せられていません。

附帯業務や収益業務については課税対象であるものの、軽減税率が適用されます。

他にも、救急医療等確保事業を行う病院・診療所の「固定資産税等」は非課税です。

医療法人が納める税金の種類

医療法人が納めるべき税金にはさまざまな種類があります。

以下で代表的な税金の種類をまとめました。

税金の種類 概要
法人税 法人の所得に課せられる国税
法人住民税 法人に課せられる地方税
地方法人税 法人に課せられる国税
法人事業税 法人が事業を行う際に課せられる地方税
地方法人特別税 地方税体系が構築されるまでの暫定措置的な国税
消費税 商品・サービスの販売に課せられる国税
固定資産税・償却資産税 固定資産に課せられる地方税
源泉所得税 給与や報酬を一定額徴収し、納付する所得税(国税)

※医療法人や事業内容によって納める税金が異なる可能性があります。

詳細は税務署や専門家にご相談ください。

法人税

法人税とは、「法人の所得に課せられる国税」のことです。

事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に税務署に申告する必要があります。

課税計算式は「税率×所得」で、医療法人の種類や所得によって税率が異なるため、注意が必要です。

法人税の実効税率や計算方法については、以下の記事で詳細を解説しています。

関連記事:医療法人における法人税の実効税率とは?計算方法や注意点を解説!

法人住民税

法人住民税とは、「法人に課せられる地方税」のことです。

法人住民税は大きく以下の2種類に分けられます。

道府県民税 所轄の「道府県」に納税する地方税
市町村民税 所轄の「市町村」に納税する地方税

事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に、それぞれ申告する必要があります。

地方法人税

地方法人税とは、「法人に課せられる国税」のことです。

平成26年より施行された税制度で、地方財政の不均衡を緩和する目的で設置されました。

課税計算式は「法人税額×税率」で、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に税務署へ申告を行います。

法人事業税

法人事業税とは、「法人が事業を行う際に課せられる地方税」のことです。

課税計算式は「所得×税率」で、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に道府県税事務所に申告書を提出します。

ちなみに税率は自治体によって異なるため、自治体の案内を確認してください。

地方法人特別税

地方法人特別税とは、「地方税体系が構築されるまでの暫定措置的な国税」のことです。

地域間における税源偏在の改善を目的とした、税体系の抜本的改革が行われるまでの暫定措置として、平成20年度の税制改正で設置されました。

課税計算式は「基準法人所得割額(もしくは基準法人収入割額)×税率」です。

なお、令和元年10月1日以降にスタートする事業年度から廃止されています。

消費税

消費税とは、「商品・サービスの販売に課せられる国税(間接税)」のことです。

事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に税務署に申告します。

課税計算式は「資産の取引額×税率」です。

以下の場合、消費税の納税が免除されるので注意してください。

基準期間(法人の場合は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下

なお、健康保険適用の診療は消費税が非課税となる取引です。

そのため、売上高が大きくても消費税の納税義務が生じるとは限りません。

固定資産税・償却資産税

固定資産税とは、「固定資産に課せられる地方税」のことです。

償却資産税とは「固定資産のうち、土地と建物以外の事業用資産に課せられる地方税」を指します。

固定資産税はクリニックがある土地・建物などに課せられます。

一方、償却資産税が発生する対象としては、以下が挙げられるでしょう。

  • 構造物(門や塀など)
  • パソコン
  • デスク・チェア・応接セット
  • 複合機・冷暖房設備
  • キャビネット・ロッカー
  • 看板
  • 各種医療機器・検査機器
  • 待合室用のソファ
  • ベッド
  • モニター

固定資産税の課税計算式は「土地及び家屋×税率」、償却資産税の課税計算式は「償却資産×税率」です。

源泉所得税

源泉所得税とは、「給与や報酬を一定額徴収し、納付する所得税(国税)」のことです。

課税計算式は「報酬・給与×税率」で、給与等支払時の翌月10日までに税務署に税金を納める必要があります。

ここまで医療法人に課せられる主な税金について紹介しました。

しかし、医療法人によって課せられる税金が異なる可能性があるため、税務署や自治体、税理士などに確認することをおすすめします。

七福計画株式会社は医療法人の税務をサポートしています。

税務関連でお困りごとがありましたら、ぜひご相談ください。

医療法人の税務に関する注意点

ここでは、医療法人の税務に関する注意点を紹介します。

注意点を理解して正しく税務を進めましょう。

請求書・領収書の管理を徹底する

税務を行う際は、経費(事業活動に必要な費用で、課税対象にならない)の確認が欠かせません。

経費を申告するためには、請求書・領収書などの「証拠」が求められます。

そのため、請求書・領収書の管理は普段から徹底することが大切です。

経費項目はいくつかの区分に分けられています。

  • 10万円未満:一度に経費で落ちる
  • 10万円〜20万円未満:3に分けて経費で落ちる
  • 30万円以上:資産計上・減価償却を通して経費化されるものなど

請求書・領収書に関連して、インボイス制度への対応について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:病院はインボイス制度への対応が必要?領収書や登録番号について解説!

交通費の扱いに注意する

医療法人が税務を行う際は、交通費の扱いに注意しましょう。

交通費(非課税交通費を超える場合)は「給与」という扱いになります。

また、非課税交通費が認められているのは、常時勤務スタッフのみです。

非常勤スタッフの交通費は非課税ではありません。

外部のサポートを活用する

税務を効率的に進めたい医療法人は、外部サポートの活用を検討しましょう。

税理士や専門会社などの外部サポートを利用することで、確実性を高められるだけでなく、スピーディーに税務を進められます。

また、外部サポートを利用することで、医療関連の業務に集中することも可能です。

特にスタッフが不足している場合や、税に関する知識が不足している場合は、外部サポートを利用することを推奨します。

七福計画株式会社は医療法人の経営や税金、資金に関するサポートを提供しています。

税務のプロが手厚くサポートしていますので、お気軽にお問い合わせください。

記事まとめ:医療法人についてのご相談は七福計画株式会社へお任せください

今回の記事では、医療法人の税務に関する基礎知識をはじめ、医療法人が納める税金の種類や税務に関する注意点などについて解説しました。

医療法人の税務は、普通法人と異なるケースがあるため、正しい知識を持った上で税務を進めることが大切です。

専門的な知識が不足している場合や、スタッフが不足しており税務を行う余裕がない場合は、ぜひ七福計画株式会社にご相談ください。

当社には、これまで3,000件以上のお困りごとに対応してきた実績がございます。

オンライン相談も受け付けています。

最短5分で申し込みいただけますので、ご興味のある方は公式サイトのお問い合わせボタンからお申込みください。

医療法人の設立・運営に関するご相談はこちら

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