医療法人・クリニックの税務調査とは?実地調査の流れや注意点を解説!
不正の有無に関わらず、所得の申告漏れがないかなどが調査されます。
より理解を深めるために、医療法人と税務調査について確認しておきましょう。「医療法人・クリニックの税務調査とは?」
「税務調査までに準備しておくことは?」と疑問をお持ちの方はいませんか。
医療法人・クリニックにおける税務調査とは、納税者が行った税務申告が正しいかを確認する調査のことです。
開業から3年が経過していたり、収益に対する費用の割合が一般的でなかったりすると、税務調査が入る可能性があります。
今回の記事では、医療法人の税務調査に関する基礎知識をはじめ、税務調査の対象になりやすい医療法人の特徴、税務調査の流れ、必要な準備、税務調査のポイントなどについて詳しく解説します。
医療法人の税務調査とは?
医療法人の税務調査では、医療法人・クリニックなどの納税者が税務申告を正しく行っているかが見られます。
不正の有無に関わらず、所得の申告漏れがないかなどが調査されます。
より理解を深めるために、医療法人と税務調査について確認しておきましょう。
医療法人とは
医療法人とは、医療法に基づいて設立された法人のことです。
病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所・介護老人保健施設を開設することを設立目的としています。
医療法人は大きく以下の2種類に分けられます。
医療法人の種類 | 概要 |
---|---|
社団医療法人 | 医療・介護の提供や医学・歯学の研究を目的とする。 医師や歯科医師などの医療関係者が集まることで設立される。 |
財団医療法人 | 医療の発展や医学・歯学の研究を目的とする。 寄付金などを使って設立される。 |
医療法人の基礎知識については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:医療法人化のメリットやデメリットについて解説!リスク対策は保険で対応
税務調査とは
税務調査とは、納税者からの税務申告を正しく行っているかを確かめるための調査です。
納税者全員が正しく申告できていれば税務調査は必要ありませんが、中にはミスや不正が発生するケースも存在します。
このようなケースを減らすためにも、税務調査が実施されるのです。
税務調査は大きく以下の2種類に分けられます。
税務調査の種類 | 概要 |
---|---|
任意調査 | ・税務署職員が実施する。 ・電話で事前に通知があることが多い。 |
強制調査 | ・国税局査察部が実施する。 ・事前連絡なく強制的に行われる。 |
一般的には確定申告後の4月〜5月、国税局や税務署の人事異動が落ち着く7月〜11月頃に実施されることが多いです(明確な決まりはありません)。
税務調査の対象になりやすい医療法人の特徴
それでは、どのような医療法人が税務調査の対象になりやすいのでしょうか?
最後の税務調査から時間が経過している
医療法人に対する税務調査は、5年に一度くらいの頻度でやってくると言われています。
そのため、最後の税務調査から時間が経過している場合は、税務調査が行われる可能性が高いです。
不正していない、しっかりと申告できているという医療法人であっても、「最近税務調査が行われていない」という理由で実施されることがあるため、準備することが大切です。
開業から3年が経過している
開業してから3年が経過した医療法人は、税務調査のターゲットになりやすいと言われています。
開業直後の医療法人は大きな利益が出ることは少ないです。
しかし、3年程度が経過して事業が軌道に乗り始めると、利益が出始め経理処理も複雑化してきます。
加えて、開業から2年間は消費税が課税されません。
3年目から消費税を申告するために帳簿を作成する必要があり、税務調査の対象になりやすいのです。
収益に対する費用の割合が一般的でない
収益に対する費用の割合が一般的でない場合、税務調査の対象になる可能性があります。
- 収益:経営活動によって資本が増加する要素
- 費用:経営活動によって資本が減少する要素
基本的には、同じような事業を運営している事業者同士を比較すると、収益に対する費用の割合は類似する傾向にあります。
しかし、費用の割合が極端に大きい場合などは、不正やミスが疑われて税務調査の対象になりやすいです。
数年間事業所得を赤字で申告している
事業活動によって発生する赤字は問題ありません。
しかし、事業を営んだ実態がないにも関わらず、家賃や携帯電話代、交通費などを経費として計上するケースも存在します。
事業所得が連続して赤字になり、事業を継続する人は多くありません。
そのため、事業活動の実態があるかを確かめるために税務調査が実施されることがあります。
医療法人における税務調査の流れ
税務調査は一般的に「2〜3日」程度で、1〜2名の調査官によって実施されます。
それでは、医療法人に対する税務調査はどのような流れで行われるのでしょうか?
税務調査1日目
午前10時頃に調査官が来院することが多いです。
最初の1時間を使って、病院・クリニックの成り立ち、患者の状況、診療の内容などを簡単に説明します。
調査官は飲食の提供を受けられないため、お茶やお菓子を出す必要はありません。
概要を説明した後は、帳簿の確認や領収書など、実際の確認作業を行います。
医療事務や税理士に対応を任せましょう。
調査1日目の終わりに、次の日に確認したい資料などを依頼される可能性があるので、指示に従って準備を進めましょう。
税務調査2日目以降
税務調査2日目以降も、調査官は初日と同じ時間に来院することが多いです。
事前に依頼されていた資料があれば、まずその資料を提出します。
夕方まで調査の続きが行われ、最後に調査内容について報告があります。
2日間で税務調査が終了しなかった場合、3日目以降も継続して調査が行われるか、資料の持ち帰りが求められるかで対応します。
もしカルテの開示が求められた場合は、個人情報の守秘義務があるため、拒否することも可能です。
税務調査実施後
税務調査実施後は、税務署からの問題指摘と交渉の段階に移ります。
問題指摘に対して即答するのではなく、税理士に相談してから返答するようにしましょう。
- 問題指摘に納得した場合:修正申告書を提出し、追徴納税を納付する
- 問題指摘に納得できなかった場合:税務署と協議(認められない場合で修正申告書を提出しないと更正処分を受ける可能性があります)
- 問題指摘がなかった場合:税務調査終了
このように税務調査の結果によって対応方法が異なりますが、すぐに税理士と相談できるように調整しておきましょう。
医療法人における税務調査で準備しておくこと
事前に通知がある任意調査の場合、どのような準備をしておくべきなのでしょうか?
顧問税理士と打ち合わせしておく
顧問税理士と打ち合わせしておくことで、スムーズに対応できるようになります。
顧問税理士は税務調査に関する専門知識を備えています。
そのため、どのようなポイントが問われるか、どのような回答をすべきかを事前に打ち合わせすると、わかりやすく回答することが可能です。
当日も顧問税理士に対応してもらえるように、スケジュールの調整も行っておくと良いでしょう。
資料を準備する
必要資料を準備したり、ファイルを整理したり、調査員から求められそうなものは事前に準備しておきましょう。
書類やファイルをスムーズに提供できないと、税務調査に時間がかかってしまいます。
一般的には以下の資料を用意しておくと良いでしょう。
- 総勘定元帳
- 預金通帳
- 窓口現金出納帳
- 請求書・領収書
- 帳簿書類(契約書など)
- 賃金台帳・タイムカード
- 給与関係書類(扶養控除申告書など)
医療法人における税務調査のポイント
ここでは、医療法人における税務調査のポイントを紹介します。
税務調査でよくチェックされる点を確認しておく
税務調査でどのようなポイントが問われるかを理解しておけば、スムーズに回答したり、資料を提出したりできるようになります。
交際費の損金不算入額や棚卸資産などは、税務調査で見られやすいポイントです。
棚卸資産に関しては、既に仕入を行っていない項目が残っているケースがよく見られます。
そのため、「実地棚卸はいつ行っているか?」、「実地棚卸高と帳簿棚卸高に差異がある場合の対処法は?」などを質問される可能性が高いです。
専門家に相談する
初めて税務調査を受ける場合や、必要な準備がわからない場合などは、外部の専門家を活用すると良いでしょう。
さまざまな医療法人の税務調査に対応してきた専門家であれば、どのように税務調査が行われるか、どのようなポイントに注意すべきかを理解しています。
そのため、税務調査もスムーズに進められるようになるのです。
七福計画株式会社は医療法人のお金やリスクに関する総合的なサポートを提供しています。
税務調査でお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。
記事まとめ:医療法人についてのご相談は七福計画株式会社へお任せください
今回の記事では、医療法人の税務調査について解説しました。
医療法人の税務調査は、税務申告が正しいかを確認するために実施されます。
開業から3年が経過したり、収益に対する費用の割合が一般的でなかったりする場合、税務調査の対象になりやすいです。
税務調査への対応は、専門的な知識と経験が必要です。
七福計画株式会社は、これまでに3,000件以上の法人支援実績を誇り、多くのお客様から信頼をいただいています。
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