医療法人ができない事業は?医療法人の業務範囲についても解説!
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医療法人ができない事業は?医療法人の業務範囲についても解説!

医療法人は、地域医療の中核を担う非営利法人です。

法律によって、その業務範囲や収益活動には厳格な制限があります。

これから医療法人の立ち上げを検討している方にとって、どの事業を営めるか気になるところでしょう。

本記事では、医療法人ができない事業や業務範囲、禁止事業を行った場合のリスクについて解説します。

目次

医療法人ができない事業は?

医療法人は医療法に基づき、事業範囲が厳格に限定されています。

営利を目的とした事業は原則として禁止されており、違反した場合は行政指導などのリスクがあります。

医療法人が禁止されている収益事業は?

医療法人は、認定社会医療法人を除き、収益事業を行うことができません。

具体的には、以下のような事業が禁止されています。

  • 不動産投資
  • 第三者への金銭貸付
  • 他の医療機関への看護師等の派遣
  • 飲食店や物品販売など、医療提供と直接関係のない一般的な営利事業

これらは、医療法人の非営利性や公共性を損なう恐れがあるため、法律によって制限されています。

また、剰余金の配当も禁止されており、医療法人の利益は医療サービスの質向上や施設の充実に充てなければなりません。

参考:厚生労働省

医療法人は収益事業を禁止されているが、不動産賃貸はできる?

原則として、医療法人による不動産賃貸業は認められていません。

ただし、医療法人が保有する土地や建物などの「遊休資産」について、特別な事情がある場合に限り、例外的に賃貸が認められることがあります。

たとえば、将来的に医療施設として利用する予定がある場合や、売却が困難な場合などです。

この場合でも事業として行われていないと判断される程度に限定され、継続的な収益事業としての賃貸はできません。

社会医療法人であれば、認可を受けて不動産賃貸業を行うことが可能ですが、収益は本来業務の経営に充てる必要があります。

厚生労働大臣の定める社会医療法人が行うことができる収益業務は?

社会医療法人は、厚生労働大臣の定める範囲内で収益業務を行うことができます。

収益業務として認められるのは、以下のようなものです。

  • 不動産賃貸業(建物売買業、土地売買業は除く)
  • 駐車場業
  • 医業経営相談業
  • 飲食業
  • 卸売・小売業
  • 情報通信業、運輸業、宿泊業など

ただし、風俗営業や武器製造業、遊戯場など、社会的信用を損なう恐れのある事業は明確に禁止されています。

さらに、収益業務の利益はすべて本来業務の経営資金として活用しなければなりません。

なお、社会医療法人が行える収益業務の種類は以下の資料も確認してみましょう。

参考:厚生労働省

厚生労働省の定める医療法人の業務範囲は?

医療法人の業務範囲は、「本来業務」「附帯業務」「付随業務」の三つに大別されます。

これらは医療法人の設立目的や社会的役割を明確にし、健全な運営を支える重要な枠組みです。

以下、それぞれの内容と具体例、必要な手続きについて詳しく解説します。

本来業務

本来業務は、医療法人の最も基本的な業務であり、医療法第39条に基づいて定められています。

具体的には、以下の施設の開設・運営が該当します。

  • 病院
  • 診療所(医師または歯科医師が常時勤務)
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院

これらの施設を新たに設ける場合、医療法人の定款変更と都道府県知事の認可が必須です。

定款変更には社員総会(理事会や評議員会)の議決が必要となり、認可手続きには施設の概要や事業計画書など多くの書類を提出します。

本来業務は医療法人の設立目的そのものであり、医療提供の中核をなすため、最も重視される業務です。

参考:厚生労働省

附帯業務

附帯業務は、本来業務に支障をきたさない範囲で実施できる業務であり、医療法第42条に規定されています。

附帯業務を行うには、定款または寄附行為にその内容を明記し、都道府県知事の認可を受ける必要があります。

附帯業務のみを独立して行うことや、外部委託のみで運営することは認められていません。

必ず本来業務を主体とし、その補完的役割として位置づけることが求められます。

参考:厚生労働省

附帯業務の例

附帯業務には、以下のようなものがあります。

  • 医療関係者の養成・再教育(看護師、リハビリ専門学校など)
  • 医学・歯学に関する研究所の設置
  • 疾病予防施設(有酸素運動施設、温泉利用施設など)
  • 保健衛生業務(薬局、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所)
  • 社会福祉事業(有料老人ホーム、認定こども園、障害者支援施設など)

これらの業務は、地域医療や福祉の充実、医療人材の育成など社会的意義が高いものです。

近年は少子高齢化や地域医療の変化に対応するため、附帯業務の範囲も拡大されています。

たとえば、認定こども園や有料老人ホームの運営、訪問看護や介護サービスの提供などが追加されています。

附帯業務を行うために必要なこと

附帯業務を実施するには、まず定款または寄附行為にその業務内容を明記し、社員総会の議決を経て都道府県知事の認可を取得します。

申請には、事業計画書や財産目録、施設の概要、職員体制など詳細な書類が必要です。

附帯業務のみの運営や外部委託だけでの実施は認められておらず、本来業務を補完する形で行う必要があります。

付随業務

付随業務は、本来業務に付随し、医療サービスの提供や療養環境の向上を目的とする業務です。

付随業務は定款変更や都道府県知事の認可が不要であり、比較的柔軟に実施できます。

ただし、本来業務との密接な関連性が求められ、営利目的で独立して行うことは認められていません。

付随業務の例

付随業務には、以下のようなものがあります。

  • 院内売店の運営
  • 患者・職員用駐車場の運営
  • 患者搬送サービス
  • 医療用器具の販売(松葉杖など)

これらは病院や診療所の建物内や敷地内で行われ、患者や職員の利便性向上に資するものです。

たとえば、院内売店では医薬品や日用品の販売を行い、駐車場は患者や職員の通院・通勤をサポートします。

附随業務を行うために必要なこと

付随業務は本来業務の一部とみなされるため、定款変更や認可は不要です。

ただし、業務内容が本来業務に密接に関連していることが条件です。

たとえば、院内売店や駐車場業務は患者や職員の利便性向上に直結するため認められますが、これらが独立した営利事業とみなされる場合は問題となります。

このように、医療法人の業務範囲は法律で厳格に定められており、適切な手続きを経て業務を拡大することが求められます。

業務範囲を逸脱した場合、行政指導や認可取消などのリスクがあるため、法令遵守と適正運営が不可欠です。

なお、付帯業務や付随業務については、厚生労働省の資料も確認してみましょう。

参考:厚生労働省

禁止されている収益事業を行ってしまった場合どうなる?

医療法人が禁止されている収益事業を行った場合、行政指導を受ける可能性があります。

具体的には、決算書や申告書などから違反が発覚した場合、行政から速やかに収益事業を中止するよう指導されます。

違反の程度や内容によっては、法人の認可取消や役員の責任追及など、より厳しい措置が取られる可能性もあります。

また、違法な収益事業によって得た利益は、法人税などの課税対象となるため、税負担が大きくなるリスクもあります。

医療法人は、常に法令遵守を徹底し、業務範囲を逸脱しないよう注意が必要です。

参考:厚生労働省(医療法第六十三条、六十四条、九十三条)

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