
赤字企業が法人保険に加入するメリットとは
経営難に陥ってしまい赤字になっているときこそ、法人保険が有効に活用できるケースがあります。
法人保険の解約返戻金や契約者貸し付けなどが、経営難を乗り越えるためのポイントになる可能性があるためです。
本記事では、法人保険の出口戦略に関する基礎知識や法人保険の出口戦略で退職金がおすすめな理由、法人保険の出口戦略を考える際のポイントを解説します。

「経営難…」そんな時こそ法人保険への加入が不可欠
会社経営が苦しく、赤字になっている企業こそ法人保険の活用が有効になるという考え方もあります。
解約返戻金を赤字で苦しい事業資金に充てることができるためです。
多くの法人保険では、黒字の状態で解約返戻金を受け取ると益金として計上しなければならず、法人税の課税対象となります。
しかし赤字であれば益金と赤字分を相殺でき、利益がマイナスであれば法人税は課されません。
法人税の負担を軽減させつつ不足している事業資金を準備できるため、赤字企業こそ法人税を活用すべきと言えるでしょう。
ただし、解約返戻金を有効的に活用するためには「出口戦略」が重要になります。
法人保険の出口戦略とは
法人保険とは、法人が契約者となって加入する保険タイプのことです。
法人保険における出口戦略は「法人保険をどのように解約し、解約返戻金をどのように受け取るかを計画すること」を意味します。
出口戦略は「エグジット・ストラテジー」と呼ばれることもあります。
解約返戻金を受け取る際は税金を納める必要がありますが、出口戦略を持たずに解約してしまうと支払う税金が増えてしまう可能性があります。
法人保険で検討すべき5つの出口戦略
ここでは、法人保険に加入する際に検討すべき出口戦略を説明します。
解約返戻金で法人保険に加入し直す
解約返戻金とは、保険契約の解約時に払い戻されるお金のことです。
その解約返戻金を使って「法人保険に加入し直す」こともできます。
法人保険を解約するタイミングで会社の利益が出ている企業は、再度法人保険に加入することで損金に算入できるようになります。
解約返戻金のピークを先延ばしにすることが可能ですが、将来的には出口戦略を再度検討する必要があるため注意が必要です。
退職金の資金にする
解約返戻金を「退職金の資金」にする企業は少なくありません。
解約返戻金を経営者や役員の退職金に充てることで、法人税の負担を軽減できる可能性があるためです。
解約返戻金を法人が受け取る場合、益金の扱いになるため課税されます。
一方、退職金の損金として計上することで負担を軽減できるのです。
投資を行う
解約返戻金を活用して「投資」を行う企業も見受けられます。
例えば、設備投資や海外中古不動産への投資などです。
社用車を買い替えたり、社屋の壁をリフォームしたりすれば、損金として算入できます。
退職金と比較すると効果は少ないですが、減価償却を利用することが可能です。
特に医療法人は医療機器などで大きく減価償却できるため、設備投資の効果を実感しやすいと言われています。
人件費として活用する
社内のモチベーションを上げるために、解約返戻金を「人件費」として活用する企業も存在します。
解約返戻金を活用し、社員に対してボーナスを支給すれば、社員のモチベーションが向上しやすくなるでしょう。
生産性が向上し、業務効率がアップしたり、売上拡大を目指せたりできます。
他にも、新たな人材を採用するための資金として活用することも可能です。
広告宣伝費として活用する
解約返戻金は「広告宣伝費」として活用することもできます。
広告を行うことで企業のブランドイメージを確立したり、認知拡大を目指したりすることが可能です。
具体的には、ホームページのリニューアルやインターネット広告など、活用方法は多岐に渡ります。
法人保険の出口戦略で退職金がおすすめな理由
人保険の出口戦略にはさまざまですが、特に「退職金」として活用することをおすすめします。
その理由は「損金算入できる割合が大きいため」です。
経営者や役員の退職金として活用すれば、損金算入できる割合が大きくなります。
つまり、税負担を軽減できる可能性が高いということです。
ただし、退職金の額が大きすぎると損金算入できない可能性があるため、注意が必要です。
同業他社と比較するなどして、退職金の額が大きすぎないかを調査することをおすすめします。
もし会社が赤字になったら?経営者がとるべき行動を解説
法人保険を契約している会社が赤字になった場合、取るべき行動は以下の3つのパターンに分けられます。
- 解約
- 契約者貸し付け
- 生命保険の見直し
赤字に苦しむ経営者の方は、3つのパターンについて事前に確認しておくことが大切です。
パターン1 解約
経営状態が悪化し、保険料の支払いも厳しい状態の場合、まずは法人保険の解約を視野に入れましょう。
保険料の負担を軽減できる上に、積立型の生命保険であれば解約返戻金を受け取ることもできるためです。
法人保険の大きな役割として「利益の繰り延べ」が挙げられます。
保険料を支払うことで現時点での法人税負担を減らし、解約返戻金や保険金を受け取る時期まで課税のタイミングをずらす仕組みです。
赤字になっている場合、解約返戻金と赤字分を相殺すれば法人税の負担は軽減できます。
経営を存続させるための当面の事業資金としても活用可能です。
解約返戻率が低い状態で解約すると受け取れる返礼金が少なく、支払った保険料から考えると損をする可能性もあります。
しかし赤字のまま経営状態が悪化し、経営が継続できなくなっては元も子もありません。
保険料負担を減らし、手元の資金を確保する方法として法人保険の解約を検討しましょう。
パターン2 契約者貸し付け
一時的な資金不足で赤字になっているような場合は、契約者貸し付けを利用するという手もあります。
契約者貸し付けとは、生命保険の解約返戻金を担保にして資金を借り入れられる制度です。
法人保険を解約してしまうと保障も終了してしまい、万が一のことがあっても保険金が受け取れなくなってしまいます。
しかし、契約者貸し付けであれば保障を継続しながら資金を準備することができます。
解約返戻金を担保とするため審査も不要で、スムーズに資金を調達可能です。
また、借り入れたお金を返済できなかった場合は、本来受け取れたはずの解約返戻金から借入額と利子が差し引かれる仕組みになっています。
返済を催促されることも基本的にないため、業績が回復してから返済することができます。
手元に現金があれば赤字から回復できる見込みがある場合は、法人保険の契約者貸し付けの活用も視野に入れましょう。
パターン3 生命保険の見直し
加入している生命保険の内容を見直す方法もあります。
保険料の負担を軽減させ、キャッシュフローを改善させるための方法です。
例えば、生命保険は解約せずに以降の保険料払込を止めるという方法があります。
保険金額はそのままで保障期間を短縮する「延長定期保険」や、保障期間は変えずに保険金額を少なくする「払い済み保険」などが挙げられます。
また、部分解約(減額)も見直し方法のひとつです。
加入中の生命保険の保険金を減額し、払込保険料も減らすことで負担を軽減させるという仕組みです。
解約した部分に相当する解約返戻金も受け取ることができ、手元の資金として確保することができます。
さらに複数の生命保険への加入により保障内容が重複して、支払う保険料が無駄になっているケースも少なくありません。
一度保障内容に重複がないかを確かめてみることも大切です。
単純に法人保険を解約するのではなく、部分的な解約や重複部分の解約などを視野に入れながら保険料の負担を軽減させましょう。
法人保険の出口戦略を考える際のポイント
赤字企業が法人保険を選ぶ際、以下の4つのポイントを押さえることが重要です。
- 月別返戻率を確認する
- わざと失効させる
- 保険の加入目的を再確認する
- 専門家に相談する
それぞれのポイントを解説していきます。
月別返戻率を確認する
法人保険の出口戦略を考える際は、「月別返戻率」を確認することが大切です。
法人保険の種類やプランによって月別返戻率が大きく異なります。
どのタイミングで解約返戻金率が大きくなるかを把握しておくことで、より多くの資金を獲得できるようになります。
年別の解約返戻率を提示された場合は、月別で確認できる資料を提示してもらいましょう。
わざと失効させる
法人保険はわざと失効させることも可能です。
企業によっては、解約するタイミングで損金を用意できないケースがあります。
そういった場合は、失効という仕組みを利用する方法もあります。
失効とは、期日までに保険料の支払いをせず、保険契約の効力を失わせることです。
失効と同時に保障を受けられなくなりますが、一定期間であれば解約返戻金を受け取る権利を残すことができます。
保険の加入目的を再確認する
基本的なことですが、法人保険の「加入目的」を再確認しましょう。
加入当初に「事業資金を確保する」ことを目的としていた場合でも、期間が経過し「退職金を準備する」という目的に変化する可能性があります。
そのため、法人保険に加入している目的を定期的に確認することが大切です。
目的が明確になれば、出口戦略を考えやすくなります。
法人保険の出口戦略についてのご相談は七福計画株式会社へお任せください
今回の記事では、法人保険における出口戦略や退職金がおすすめな理由、出口戦略を考える際のポイントなどについて解説しました。
法人保険に加入する際は、出口戦略を考えておくことで、解約返戻金を受け取る際の税負担を軽減できる可能性があります。
具体的な出口戦略が思い浮かばないという企業は、七福計画株式会社にご相談ください。
当社は経営から保険、リスクなど、あらゆる相談に対応しており、これまでに3,000件以上のアドバイスを行ってきました。
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