
医療法人における資本金の捉え方とは?平均額や調べ方を解説!
「医療法人における資本金とは?」
「医療法人における資本金の平均額はどれくらい?」
と疑問をお持ちの方はいませんか。
資本金の扱いは、医療法人の種類によって変わってきます。
医療法人の設立を検討している方は、資本金の捉え方や平均額などについて確認しておくことが大切です。
今回の記事では、医療法人における資本金の捉え方をはじめ、資本金の平均額、設立時にかかる費用項目などについて解説します。
医療法人の設立を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

医療法人における資本金の捉え方
医療法人とは、医療法に則って設立される法人のことです。
国民の健康保持に寄与することを目的としているため、株式会社などの法人とは異なり、医療法人には非営利性が求められます。
それでは、医療法人においては資本金はどのような扱いになるのでしょうか?
そもそも資本金とは?
まずは資本金の基本概念についておさらいしましょう。
資本金とは、株主や投資家、経営者などの出資者によって払い込まれる金額のことです。
一般的には会社を設立する際や、株式を発行する際などに払い込まれます。
会社が事業を運営するための運転資金という位置付けで、返済義務はありません。
資本金が多いほど安定している印象を与えるため、会社の規模や体力を示すためにコーポレートサイトの会社概要にもよく記載されています。
医療法人の種類によって資本金の有無が異なる
資本金の有無は持分あり医療法人か、持分なし医療法人かによって変わってきます。
- 持分あり医療法人:財産権のある医療法人
- 持分なし医療法人:財産権のない医療法人
持分あり医療法人と持分なし医療法人については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:医療法人の持ち分ありの相続問題について|財産の移転方法を解説
持分あり医療法人の場合:資本金(出資金)あり
持分あり医療法人とは、定款に出資持分に関する規定が記載されており、設立時に出資が行われている医療法人のことです。
持分あり医療法人には、株式会社の資本金と似ている「出資金」の概念が存在します。
ただ、資本金とは異なり、出資金においては剰余金が配当されることはありません。
さらに、出資者が医療法人とは限らないので、出資持分に応じた議決権を所有できるわけではありません。
ちなみに、平成19年の医療法改正により、持分あり医療法人を新規設立することができなくなりました。
そのため平成19年4月1日以降に設立した医療法人は、全て持分なし医療法人となります。
持分なし医療法人の場合:資本金なし
持分なし医療法人とは、定款に出資持分に関する規定が記載されておらず、持分を所有していない医療法人のことです。
現在存在する医療法人のうち、持分なし医療法人の割合は34%程度となっています。
持分なし医療法人には資本金の概念が存在しません。その代わりに「基金」という形式で資金調達を行います。
基金は資本金とは異なる性質をもつため、以下で詳しく確認していきましょう。
持分なし医療法人の「基金」に関する基礎知識
ここでは、持分なし医療法人における基金について解説します。
基金とは
基金とは、社団医療法人に払い込まれた金銭や財産のことです。
国税庁のホームページでは、基金は「社団医療法人に拠出された金銭その他の財産」と説明されています。
資本金とは別の扱いとなり、基金の場合は拠出者への返還義務が発生するため、貸付金の一種と言えるでしょう。
ただし、定款で返還義務に関して取り決めていない場合、返還を求められなくなります。
参照:国税庁「基金拠出型の社団医療法人における基金に関する法人税及び消費税の取扱いについて(照会)」
資本金と基金の違い
資本金と基金にはさまざまな違いがあります。
以下の表で両者の違いをまとめました。
資本金 | 基金 | |
---|---|---|
劣後債に該当するか | 該当しない | 該当する |
剰余金の配当の概念があるか | ある | なし |
誰が議決権を有するか | 出資者 | 医療法人の社員 |
以下で、それぞれについて詳しく確認していきましょう。
劣後債に該当するか
劣後債とは、普通社債に比べて弁済順位が低い社債のことです。
医療法人における基金には利息を付けられず、返済義務も定められていません。
弁済順位が低いため、基金はすべての債務が完了した後に返済されます。
剰余金の配当の概念があるか
余剰金とは、株主資金から資本金を差し引いた金額のことです。
株式会社などの場合、保有株式数に応じて配当金(株式を発行している企業が株主に対して支払うお金)を受け取れます。
一方で、基金においては剰余金の配当という概念が存在しません。
あくまで原資を確保することを目的としています。
誰が議決権を有するか
資本金と基金では、議決権の所在も変わってきます。
資本金の場合、出資者は出資額に応じた議決権をもつことが可能です。
一方で、基金においては議決権をもつのは医療法人の社員となります。
実際に厚生労働省の資料においても、「社員総会においては、株式会社等のような資本多数決の原理はとられておらず、社員は出資持分の有無や額等に関わりなく、1人1個の議決権を有する」と記載されています。
参照:厚生労働省「医療法人の基礎知識」
医療法人における資本金の平均額
持分なし医療法人の場合、資本金の概念が存在しないため、資本金は0円になります。
それでは、医療法人を設立するにあたって、どれくらいの資金を用意すればいいのでしょうか?
基本的には、運転資金2ヶ月分を目安として現金で用意しておくと良いと言われています。
売上によっても変わってきますが、平均すると1,000万円程度の資金を必要とするケースが多いです。
運転資金2ヶ月分の金額を必要とする理由は、保険診療料の入金が翌々月であることが関係しています。
医療法人設立時にかかる費用項目
医療法人を設立する際に、どのような費用が発生するのでしょうか?
以下で、医療法人の設立時にかかる費用項目を紹介します。
設立費用
まずは医療法人の設立にかかる費用です。
具体的には、設立登記費用や司法書士費用、不動産取得費用などが挙げられます。
設立費用はどれくらいの規模の医療法人を設立するか、どのような方法で設立するかによって大きく変わってきます。
設立費用を平均すると、総額100万円前後が相場と言えるでしょう。
医療法人化については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:医療法人化のメリットやデメリットについて解説!リスク対策は保険で対応
運転資金
続いては、事業を開始するために必要な運転資金です。
具体的には、医療機器を購入したり、従業員に対して給与を支払ったりする際に必要になります。
医療法人を設立する際は、「運転資金2ヶ月分」の資金を確保すべきという意見も見受けられます。
保険診療料の入金が翌々月となるため、2ヶ月分が目安となっています。
設備資金
設備資金とは、診療を行う際に必要となる資金のことです。
例えば、診療で使う医療機器や家具、備品などの購入費用が該当します。
このように医療法人を設立するためには、さまざまな費用が発生します。
医療法人の資金についてお困りごとがある方は、ぜひ経営の専門家である七福計画株式会社にご相談ください。
医療法人の資本金に関するよくある質問
ここでは、医療法人の資本金に関するよくある質問を紹介します。
医療法人・病院の資本金がわからない場合の調べ方とは?
医療法人・病院の資本金がわからない場合、出資申込書や登記簿謄本を確認しましょう(ちなみに、資産総額を調べるには閉鎖事項証明書を確認してください)。
ただし、資本金の概念が存在するのは、平成19年以前に設立された持分あり医療法人に限ります。
医療法人における資金調達の方法とは?
医療法人が資本調達する方法は、主に以下の通りです。
- 自己資金
- 銀行融資
- 医療法人向けファンド
- 国の補助金
どのように調達するかお悩みの方は、七福計画株式会社にご相談ください。法人経営から資金に関するお困りごとをサポートしています。
記事まとめ:医療法人についてのご相談は七福計画株式会社へお任せください
今回の記事では、医療法人における資本金の扱いについて解説しました。
持分なし医療法人においては、資本金という概念が存在しません。
とはいえ、事業を運営するために基金を調達する必要があります。
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