医療法人と個人病院の違いとは?メリットとデメリットを徹底解説!

医療法人と個人病院の違いとは?メリットとデメリットを徹底解説!

「医療法人と個人病院の違いとは?」
「個人病院は医療法人化すべき?」

と疑問をお持ちの方がいるかもしれません。

開設できる施設数や手続きの方法、業務範囲など、医療法人と個人病院にはさまざまな違いがあります。

医療法人化を検討している方は、医療法人と個人病院の違いを理解することが重要です。

今回の記事では、医療法人と個人病院に関する基礎知識を説明した上で、医療法人と個人病院の違い、医療法人化のメリットとデメリットについて解説します。

目次

医療法人と個人病院に関する基礎知識

まずは医療法人と個人病院の基礎知識を確認しておきましょう。

医療法人とは

医療法人とは、病院や診療所などを開設・所有するための組織です。

厚生労働省の資料では、医療法人は「病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設することを目的として、医療法の規定に基づき設立される法人」と定義されています。

医療法人は「非営利性」を特徴としており、株式会社などの法人とは区別されます。

さらに医療法人は「社団医療法人」と「財団医療法人」に区分されるため、以下で確認していきましょう。

参照:厚生労働省『第1章 医療法人の基礎知識

社団医療法人

社団医療法人とは「人の集まり」をベースに設立される法人のことです。

厚生労働省の資料では、「その実体が社団(一定の目的のもとに結合した人の団体)である医療法人」と定義づけられています。

社団医療法人は、株式会社と似た仕組みを採用している点が特徴です。

例えば、社団医療法人の社員は株式会社における株主に相当し、理事は株式会社における取締役に相当します。

現在は社団医療法人が医療法人の99%以上を占めています。

参照:厚生労働省『第1章 医療法人の基礎知識

財団医療法人

財団医療法人とは「財産」をベースに設立される法人のことです。

財団医療法人は「評議員会」・「理事会」・「監事」によって構成されています。

構成機関 役割 設立に必要な人数
評議員会 財産を管理する役割 評議員4名
理事会 運営する役割 理事3名
監事 監視する役割 監事1名

上記からわかるように財団医療法人を設立するには「最低8名」の人員が必要になります。

ただし、財団医療法人を設立するハードルが高く、営業の自由度の低さから、財団医療法人ではなく社団医療法人が選ばれるケースがほとんどです。

個人病院とは

個人病院とは、20床以上のベッドがある医療機関のことです。

病院長が診療、および経営の責任者を務めます。

ベッド数が19床以下の医療機関は「病院」と名乗ることができません(診療所と呼ばれます)。

ちなみにベッド数が100床以上の医療機関は「総合病院」と呼ばれます。

理想とする医療を実現したい、個人の所得を増やしたいといった理由で、個人病院を開業する医師も少なくありません。

医療法人と個人病院の違い

それでは、医療法人と個人病院に違いはあるのでしょうか?

以下の表で両者の違いをまとめました。

医療法人 個人病院
開設できる施設数 分院可能 1ヵ所のみ
開設時の手続き 都道府県庁の認可が必要 届出のみ
業務範囲 診療所・病院・介護老人施設・看護師学校・医学研究所・精神障害者社会復帰施設 診療所・病院
登記 必要 不要
役員報酬 自由に設定可能(1年間固定) なし
決算日 自由に設定可能 12月31日
決算書の提出 必要 不要
立入検査 あり なし

以下でそれぞれの違いについて詳しく確認していきましょう。

開設できる施設数

医療法人の場合、複数の施設を開設することが可能です。

分院をすることで事業規模の拡大を目指すことができます。

一方、個人病院の場合は1つの施設の運営に制限されます。

そのため、事業を大きくしたい場合は医療法人化は避けられません。

医療法人化については、以下で詳しく解説しています。

関連記事:医療法人化のメリットやデメリットについて解説!リスク対策は保険で対応

開設時の手続き

開設の手続きも医療法人と個人病院で変わってきます。

個人病院を設立する場合、各種届出を提出するのみですが、医療法人の場合は都道府県庁の認可を受けなくてはいけません。

医療法人を設立するための手続きや流れについては、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:医療法人を設立するための要件と手続きの流れを解説

業務範囲

医療法人と個人病院では、業務範囲が大きく異なります。

個人病院には診療所・病院の運営のみが認められていますが、医療法人の業務範囲は幅広いです。

例えば、医療法人化することで介護老人施設や医学研究所、看護師学校、精神障害者社会復帰施設などを設立・運営できるようになります。

登記

登記とは、名称や所在地、役員の氏名などを公示するための手続きです。

個人病院は登記を行う必要はありませんが、医療法人は登記を行う必要があります。

役員報酬

個人病院の場合、役員報酬を設けることはできません。

一方、医療法人は1年間固定で役員報酬を自由に設定できます。

役員報酬は給与所得控除が適用され、収入に応じて控除を受けることが可能です。

決算日

個人病院の場合、決算日は「12月31日」と定められています。

しかし、医療法人は1年の中で自由に決算日を設定することが可能です。

決算書の提出

決算書とは、1年間の収入や支出をまとめた書類のことです。

医療法人には決算書の提出が義務付けられています。

しかし、個人病院は決算書を提出する必要がありません(青色申告者の提出は必要です)。

立入検査

立入検査とは、建物や設備が消防法令の基準を満たしているかを確認する検査のことです。

個人病院の場合は立入検査はありませんが、医療法人においては立入検査が実施されます。

社会保険

医療法人は社会保険に加入する必要があります。

一方、個人病院は社会保険に加入する必要がありません。

ただし、従業員数が5人を超える場合は、加入義務が発生するため注意しましょう。

医療法人が設置できる社会保険については、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:医療法人は社会保険を設置すべき?医師国保との違いなど解説

個人病院が医療法人化するメリット

個人病院は医療法人化すべきなのでしょうか?

以下でメリットについて詳しく確認していきましょう。

社会的信用が向上する

医療法人化するメリットとして、社会的信用が向上する点が挙げられるでしょう。

医療法人を設立するためには、複雑かつ厳正な審査の後に認可を受けなくてはいけません。

加えて、事業報告書や監査報告書を提出する必要があり、財務状況の透明性が担保されています。

そのため、医療法人への社会的信用度は高いと言えます。

経営体制を強化できる

経営体制を強化できる点も、医療法人化するメリットのひとつです。

個人病院は1ヵ所の施設のみの運営が認められています。

一方、医療法人は複数の施設を開設・運営することが可能です。

複数の施設を運営することで事業拡大を実現できます。

経営体制の強化にもつながり、地域に安定した医療を提供できるようになります。

税率が固定化される

医療法人を設立するメリットとして、税率が固定化されることが考えられます。

個人病院(個人事業主)の所得には「累進課税制度」が適用されます。

つまり、所得が大きくなればなるほど納税額が大きくなるということです。

一方、医療法人は税率が固定化されています。

そのため、医療法人の方が税金の管理や収支の予測を立てやすいです。

なお、税率に関しては国税庁のホームページなどで最新情報をご確認ください。

個人病院が医療法人化するデメリット

医療法人化のメリットを紹介してきましたが、デメリットについても理解することが大切です。

以下で、個人病院が医療法人化するデメリットを確認していきましょう。

現在は持分なし医療法人しか設立できない

持分なし医療法人とは、持分(​​医療法人における財産権)がない医療法人のことです。

平成18年の医療法改正により、平成19年4月1日以降、新たに設立できるのは持分なし医療法人のみとなりました。

持分なし医療法人は出資者に財産は戻ってこない、相続ができないなどの特徴をもつため、設立前にデメリットについても理解しておくことをおすすめします。

持分なし医療法人については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:持分なし医療法人への移行方法とは?メリットやデメリットを解説!

運営管理が複雑になる

個人病院と比較すると、医療法人の運営管理の方が複雑と言えるでしょう。

医療法人を設立する際にさまざまな手続きを行わなくてはいけません。

加えて、設立後も決算報告や法人税申告、資産総額の登記など、あらゆる手続きに対応する必要があります。

特に注意したいのが「解散」についてです。

医療法人には地域に安定的に医療を提供する役割が求められるため、解散する際も手続きが複雑になります。

医療法人の解散については、以下の記事をご確認ください。

関連記事:医療法人を解散する理由とは?手続きや残余財産の処理方法を紹介

社会保険への加入義務が発生する

先述した通り、医療法人は社会保険に加入する必要があります。

個人病院は社会保険への加入義務はありませんが、5名以上の従業員を雇う場合は加入義務が発生します。

社会保険料は従業員と医療法人が折半で負担する必要があり、金銭的な負担が大きくなる点が懸念されるでしょう。

しかし、社会保険に加入することで優秀な人員を確保しやすくなるなど、メリットも多くあります。

記事まとめ:医療法人と個人病院に関するご相談は七福計画株式会社へお任せください

今回の記事では、医療法人と個人病院の違いについて詳しく解説しました。

個人病院と比較すると、医療法人の方が事業を拡大できるだけでなく、役員の報酬も自由に決められるようになります。

しかし、医療法人化の手続きが複雑で、何から始めていいかわからないという方も少なくありません。

医療法人化でお困りの方は、ぜひ七福計画株式会社にご相談ください。

七福計画は経営やお金、リスクなどの課題に対して適切なサポートを提供しています。

これまでのサポート件数は3,000件以上にも及ぶだけでなく、オンラインでのご相談も可能です。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

医療法人の設立・運営に関するご相談はこちら

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